「腹八分目に病なし、腹十二分に医者足らず」 ということわざがあります。食べ過ぎると病気をするという戒めですね。
ドイツにも「1日3食のうち2色は自分のため、残り1食は医者のため」ということわざがあるそうです。さらに4000年以上の前に作られたピラミッドの碑文にも「人は食べる量の4分の1で生きている。残りの4分の3は医者が食べている」と記されています。これは「人は食べ過ぎるからこそ病気になり、医師が食べていける」 という皮肉だと考えられています。
昔の人は長寿や健康のためには「食べ過ぎない」 ことが大切だと、経験的に分かっていたのかもしれませんね。
そして現代。
「食細くして命永(いのちなが)かれ」
2013年に亡くなられましたが、116歳と54日で、男性の歴代最高齢記録とギネスが認定した木村次郎右衛門さんの言葉です。
メディアの取材を受けるたびに聞かれるのが「長寿の秘訣は何ですか?」でした。
そして聞かれるたびに冒頭の「食細くして、命永かれ。これが私のモットーでございます」というのが決まり文句。常に腹八分目ならぬ腹六分目と少食を心がけていたそうです。
少食というと、世の中には少食健康法というのがありまして、絶食療法や一日一食健康法が有名です。絶食療法は専門家のいる施設で行うのが絶対ですが、一日一食は実践している人は多いです。
芸能人でも水谷豊さん、Gacktさん、福山雅治さん、高橋一生さん、西川貴教さん、京本政樹さん、ビートたけしさん、タモリさん、ピンクレディーの未唯さん、サンプラザ中野さん、千葉真一さんなどなど。他にも、ジャパネットたかたの高田明前社長、内村航平さんや吉田沙保里さんといったトップアスリートも一日一食を明言されていますし、バラク・オバマ前米国大統領までもが1日1食だそうです。
誤解されている方も多いのですが、この健康法は何が何でも一日一食で通すのではなく、お腹が鳴ったら無理せず食べるのです。なので結果的に一日四食や五食になることもあります。お腹が鳴るということは胃腸が食べ物を受け入れる準備ができたという合図なので、カラダが準備ができていないうちに食べるのは控えましょうということ。ある意味、動物的な食生活と言えます。
「空腹」が人を健康にする サンマーク出版
一日一食を提唱している医師で、著書も多い南雲吉則先生も「時間になったから食べないといけないという生活ではなく、お腹がすいたという実感を得てから食べてください。間食もOKです。」と言っているだけで、その場合は三食でも五食でもいいわけで、「何が何でも一日一食しか食べてはいけません」と言っているわけではないのですね。
逆にお腹が鳴っているのに無理して絶食すると拒食症になりかねません。なので絶食療法や不食健康法といわれる健康法は必ず管理者を就けないと危険です。
人類は何万年の飢えと戦いの歴史がある中で、飽食の時代はほんの50年~60年といったところ。ほんの一瞬です。
その50年で一日三食が定着してから肥満や糖尿病、肝臓の病気といった食べ過ぎが原因の病気も増えてきました。人間のカラダはその変化についていけていないのだと思います。
余談になりますが、1日3食を定着させたのは発明王で有名なトーマス・エジソンです。自身の発明したトースターを販売&普及させるために「1日3食にしましょう!パンを食べましょう!」と宣伝活動した結果だそうです。100年前のアメリカも1日2食が主流なライフスタイルだったようです。
歴史上の人物で、最も健康に関心を寄せていたのことで有名なのが徳川家康。家康は超のつく健康オタクでも知られています。当時の最先端の医学書を理解でき、医者の必要もないほど医学に精通していたそうです。薬の専門書「和剤局方」も暗唱できるほどで、家康お抱えの医師団よりも薬に詳しかったそうです。風邪気味になれば自分で調薬したとか。
狸(たぬき)親父と揶揄されるほど、恰幅のいいお腹をしていましたが、その食事は天下人としてはかなり質素なものでした。家康の言葉に「美味なものは月に2,3度食べればよい。少食粗食こそが長生きの秘訣」というのがあります。
先に天下を手にした秀吉は贅沢を尽くしたため、これからというときに亡くなったのを反面教師にしたという説もあります。「人間五十年」というフレーズで有名な織田信長が活躍した戦国時代は、平均寿命が30から40歳。50年も生きればそれなりに長寿です。そんな時代に家康は75歳の天寿を全うしました。
今の日本人が世界有数の長寿国でいられるのも、戦争を経験した世代が粗食だったからこそと主張する学者もいますし、少食になれば内臓も休まってお肌も元気になるという研究もあるみたいですね。
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