世の中には大食いできる人がいます。最近はテレビでもよく登場します。 信じられない量の食べ物をペロリ。しかも、お相撲さんのような体が大きい人ではなく、外見はいたって普通だったりするので余計にビックリします。
そういう人たちはどういう胃袋をしているのかと疑問に思いますが、胃袋そのものは普通の人と大差ありません。違うのは胃袋の位置と脳の仕組み。胃は空腹時はこぶし2個分の大きさです。食べ物が胃に入ってくると胃は膨らみます。普通の人は肋骨でつかえて拡がりが邪魔をされたり、他の臓器を圧迫するので苦しくなります。なので、せいぜい空腹時の28倍までしか拡がりません。しかし、大食いの人たちの胃は、通常よりかなり下に位置する、つまり極端に胃下垂なので、膨らんでも肋骨の制約を受けません。制約を受けない胃は60倍まで膨らむことが確認されています。
こぶし2個くらいの大きさのものが・・・
普通の人はコレくらいが限界。ですが、大食いできる人の胃は・・・
これくらいまで膨らむんです!
お腹が膨らむ限り、胃は膨らみ続けます。胃下垂の人の胃は、食事をすると腸の前まで垂れ下がり、下腹が出てしまいます。女性の場合、一見すると妊婦かと見間違うほど。ちなみに、フードファイターと呼ばれる、食べることを職業にしている人たちは、腹筋だけは鍛えないようにしているそうですね。筋肉を作ってしまうとそれが胃の拡張の限界を作ってしまうみたいです。
ところで、ファッションモデルの多くも胃下垂だといわれています。そのことから
「胃下垂だとたくさん食べても太らない」
「痩せてるイメージ」
「胃下垂になりたい!」
こういうことを考える若い、特に10代の女性も多いようです。
胃下垂とは胃の形の一種で、ものを食べた後、胃がその重さに耐え切れず垂れ下がり、下に伸びてしまう状態を言います。胃を支える筋肉や脂肪がない痩せ型の人が胃下垂になりやすいです。つまり、胃下垂だからやせるのではなく、やせているから胃下垂になるわけです。
胃下垂は病気とされていませんが、病気を引き起こしやすい状態ではあります。胃の消化率は、およそ1/3ほど悪く(=消化不良を起こしやすく)なるということがわかっています。胃が消化不良を起こすと、食べた物の栄養を十分に吸収できなくなり、結果太りにくい、太れない体質になると考えられています。
さらに、消化できないものを必死に消化しようと、胃酸が多く分泌され胃酸過多になったら大変です。消化不良でありながら胃酸過多というのは最悪の状態です。これは、胃炎、潰瘍を起こす危険性の高い状態だといえます。
そして、普通の人と大量に食べられる人とのもうひとつの差が脳の満腹中枢。満腹中枢が「満腹」を感じると「おなかいっぱい」という状態になります。咀嚼や胃への刺激、血糖値の変化などを脳が感じ取ると「満腹」になりますが、大食いできる人は、この満腹中枢が麻痺していると考えられています。もともと麻痺しているのか、意図的に麻痺させているのかはわかりませんが、だからどれだけ食べても「腹4分目くらい」の感覚でいられるわけですね。
ちなみに、普通の人が満腹を感じるまでの時間は食事開始からだいたい20分で、食べる量はそれほど関係しません。
そのため、早く食べると大量に食べることが可能になります。だから早食いは太りやすいといわれるのですね。逆によく噛んでゆっくり食べると少量でも満腹を感じるので太りにくいです。
信じられない量を食べられる人たちには、制限を受けずに膨らみ続ける胃とブレーキをかけない脳があるわけで、そういう意味ではやはり特異な人たちといえると思います。普通の人が真似しようと思ってもできませんよね。
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