心臓のポンプが血液を押し出すとその勢いで血管(動脈)を拡張させます。比較的皮膚に近いところを走っている血管を押さえると、一定のリズムの振動を感じることができます。そこを一般的に脈(脈拍)と呼んでいますね。
ところで、足の脈はとれますか?
誰しもこめかみや手首の脈はとったことがあると思いますが、足の脈を確認した方はほとんどいないと思います。 お医者さんは例えば閉塞派性動脈硬化症の検査で、くるぶしの脈がとれるかどうか等を判断基準にしていたりしますが、普通の人はまずないと思います。
足の脈はくるぶしのまわり、足の甲、足首などでとることができます。足の甲はわかり辛いかもしれませんが、くるぶしの周りと足首は比較的強い脈を感じることができる場所です。これまで足つぼで多くの方の足をみてきましたが、くるぶしの脈は、外側と内側の2箇所、両足で計4箇所で脈がとれるところがあるのですが、なかなか4箇所すべてで脈がとれる人は意外と少ないです。みなさんトラブルを抱えてこられているので、仕方ないことかもしれませんが。
足は心臓から一番遠い場所に位置しているので、心臓のポンプの勢いは一番弱くなる場所ではあります。加えて重力の影響で老廃物がたまりやすいので、余計に脈がうまくとりにくいのですね。心臓から近い手首ではちゃんと脈がとれるのに、足でとれないということは、下半身へちゃんと血が送られていないということ。血液は熱も伝えていますから、血が送られていないということは、指先に冷えを感じているはずですし、いろんなトラブルを抱えているはずです。
血液の巡りが悪くなっている原因のたいていは重力の影響で長年足にため込んできたゴミ(老廃物)。くるぶしまわりは、筋肉の固まりで筋が複雑に交差しています。 そういう場所は特に老廃物が付着しやすくなっているんですね。それが血管を圧迫して血流を悪くしているということなので、足つぼ(足もみ)で、ゴミの大掃除が必要です。
ちなみに、脈拍数がちゃんととれている方で、10秒間の脈拍数が常に12回以上の方は疲れていますよ。12回というのはあくまで目安ですが、脈が速いほど疲れていると言えます。疲れによって壊れた細胞を修復するために、たくさんの酸素と栄養が必要になります。細胞に酸素と栄養を運ぶのは血液なので、たくさんの血液を早く運ぶために心臓がポンプの働きを速めます。だから疲れていると脈拍が速くなるというわけです。疲れは自覚できていれば、まだ問題ないのですが、ついつい頑張ってしまっている方は注意して下さいね。
また、脈がとれない上に、アキレス腱が太くなっている方は、少し深刻です。アキレス腱の太さは年齢や体型、性別に関係ありません。だいたい指一本、10mm前後が正常です。血液中のコレステロールや中性脂肪はアキレス腱に付着しやすいのですね。つまり、アキレス腱が太いということは、血中コレステロール値がかなり高く心筋梗塞になる可能性が高いといえます。
アキレス腱の太さが20mm以上になっていると脂質異常症のひとつ、「家族性高コレステロール血症」という病気の疑いありです。全身の動脈の血管壁が分厚くなっている可能性があり、すでに身体のどこかで動脈硬化を起こしているかもしれません。こうなると、食生活や運動習慣をちょっと見直してどうにかなるレベルではなくなっています。大きく体質を変える必要があり、いまの生活の根本的な見直しが必要といえると思います。
アキレス腱が太い上に、うなじのあたりを押すと痛い人は、すでに頸動脈が動脈硬化を起こしている可能性も考えられるので、すぐにでも医師に診てもらってください。とりあえずの処置をしてもらったら、後はコツコツ足を揉んで血液循環の回復を図ります。もちろん、こうなる前に日ごろから足を揉んで予防することが大切なのは言うまでもありませんよ。 手でも頭でも首でも、そしてもちろん足でも脈がとれるようになれば血液がスムーズに流れる身体であるといえますし、その身体こそが健康なカラダになるための必須条件です。
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