湯船に浸かる大切さは皆さんご存知なのですが、「最近忙しいから」「面倒くさいから」「バスタブに湯を張る時間がない」「経済的に」 とついついシャワーで済ましたくなるお気持ち、よくわかります。
足つぼ(足もみ)をしていて、白くて硬い足の方に「お風呂に入っていますか?」と尋ねると、ちゃんと統計をとったわけではないので感覚的なものになるのですが、女性のだいたい5割、男性に至ってはほぼ全員が「シャワーですませてます」という答えが返ってきます。足が白いということは血行が非常に悪いということ。睡眠の質もよくないので疲れが蓄積していると思います。足つぼをしても、ただただ痛い。
でも、ずっとシャワーだけだと、汗をかく量が少ないため、毛穴の奥底に老廃物が汗と一緒に浮かび上がってくる汚れや皮脂が洗い流せません。その結果、臭いがきつくなりがちになってしまいます。
さらに、毛穴の奥底の老廃物が溜まったままだと、せっかくの化粧水もお肌に浸透しにくくなるんですよ。シャワーだけだと血行はよくならないですし、『シャワーで洗顔していませんか?』の記事でも書きましたが、肌荒れの原因となってしまいます。
一方の入浴にはシャワーで得られない作用があるんですよ。一説によると「日本人が長寿なのも、湯船に入る習慣があるからだ」と言う学者も世界中にいるくらいです。その真偽はさておき、入浴は体を清潔にするだけでなく、体を温めて、心身をリラックスさせ、疲れをとるなど、様々な効果があるのはたしかです。
●入浴の効果その1、温熱効果
お湯で身体が温められることで、血管が拡がって血行がよくなります。栄養や酸素が豊富な血液が全身に送られやすくなります。血行が促進されると体内の老廃物や疲労物質がより早く分解・排出されやすくなります。そのため、疲れが取れ、回復が早くなるわけです。
血行が良くなると様々な臓器や組織の新陳代謝が活発になります。当然、お肌のターンオーバーも促進されます。肌の一番外側にある表皮細胞は約30日周期で古い角質が自然に剥がれ落ち、新しい細胞に生まれ変わるのですね。しでも、その下の真皮層の血行が悪いと、このサイクルがうまく働らいてくれません。その結果、肌荒れの原因ということに。40度のお湯に20分浸かると体温は1度から2度上がります。2度上がると新陳代謝は、かなり活発になるのですが、シャワーだと深部まで熱が浸透せず、体温も半分しか上がりません。
さらに体温が上がると酵素反応のスピードが上がります。温度が10度上がれば反応速度は2倍になるといわれています。40度のお湯に20分浸かると体温は1度から2度上がります。でもシャワーだと体温も上がりません。当然全身の酵素反応も落ちてしまいます。これだけでも入浴の大勝利です。
●入浴の効果その2、制水圧効果
一般的なお風呂の湯船でも、水圧でウエストが5cmも細くなると言われているので、それなりの水圧ですよね。この水の水圧を「静水圧」と呼びます。静水圧がかかることで血管が圧迫され、これも血流を促進させる要因になります。ホースで水を撒くときホースを潰すと水の勢いはよくなりますよね。それと同じです。たくさんの血液が体中に流れ、豊富な酸素や栄養が体の隅々までしっかり届くようになります。同時にリンパも圧迫されるので老廃物の除去にも有効でむくみの緩和にもなります。
あと、湯に浸かることで浮力も得られます。通常はどんな姿勢をとっても様々な筋肉が緊張して身体を支えていますが、水中では陸上の約10分の1の力に軽減されます。筋肉や関節への負荷も軽くなりコリの解消に一役かってくれます。筋肉の緊張が弱くなると脳へのストレスも減少します。見えない身体の負担を軽減することにより、心も開放されてゆくのです。
●そして美容面
お湯につかり体が温まると、毛穴が開き、毛穴に詰まっている脂や汚れ、また皮膚の表面に付着している老廃角質が柔らかくなり、タオルなどで容易に落とせます。こうすることにより、皮膚の重要な役目である体温調節や汗の蒸発がスムーズに行われ、皮膚の機能が十分に働くようになり、入浴後のサッパリした爽快感が得られます。 冒頭でもふれましたが、残念ながらシャワーだとこうはいかないのですね。
ちなみに経済面については、実際に比較してくださいということになるのですが、水道代とガス代がほとんど変わらず、むしろシャワーの方が高くなるケースが多いみたいです。シャワーを15分間使うのと、200Lの浴槽をいっぱいまでためるのと使う水量は同じとか。浴槽をいっぱいにするには、大量のお湯が必要と思われがちですが、どうやらシャワーも結構なお湯を使うようです。
健康の為にも美容の為にも、湯船に浸かることはとってもおすすめです。冬はもちろん、夏場も空調のために身体は冷えてします。お風呂はゆっくりと入って、汗を流すまで入ると血行もよくなるので、是非ゆっくり入っていただきたいものです。
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