ホットペッパーなどを見ていると、リラクセーションのお店には、「リンパを流してスッキリ!」というようなキャッチコピーがいっぱいです。それだけむくみに悩んでいる方が多いということでもあり、リンパという言葉自体はよく知られていると思います。が、血管とは違い、身近なようでそうでもなかったり。でも、むくみを理解するためには知っておかないといけない器官です。
リンパの働きには大きくわけて2つ。体中の不要なものを回収していく運搬機能と免疫機能があります。免疫についてはまた別の機会にさせていただきまして、今回はむくみに関する運搬機能に絞ります。むくみが出たりリンパ浮腫(ふしゅ)や下肢静脈瘤になったりする原因は運搬機能の衰えです。
※むくみは炎症やアレルギー、薬の副作用、飲酒や塩分の過剰摂取でも起こりますが、今回はこれらのケースは割愛します。
まず、リンパというとリンパ液と、その通り道のリンパ管のことを指すのが一般的だと思います。
リンパ液とはリンパ管の中にある透明な弱アルカリ性の液体のこと。血液から染み出した水分が細胞で使われて、使用済みの水分が老廃物とともに再び血管に戻ります。ですが、血管に戻れきれなかった水分がリンパ管で回収されます。その水分のことをリンパ液といいます。リンパ液の流れる速さは1秒間に0.5センチ、1分間で30センチ。全身を1周するのに12時間かかります。動力源が筋肉なので運動量により個人差がありますが、全身を1分で1周する血液と比べると、かなりゆっくりです。そのかわり血管より大量の水分を運べます。両者のイメージはこんな感じです。
そして、リンパ管。リンパ管はリンパ液が通るパイプで、太くても2mm、細い毛細リンパ管になると20~75μmです。μmというのはマイクロメートルまたはミクロンと読み、1μmは1000分の1ミリ・・・小さすぎてよくわからない細さですね。
リンパという言葉は、ラテン語で「清水の流れ」という意味で、リンパ管はその通り道。江戸時代に登場した解体新書では、リンパ管のことを「水道」と訳されていたようです。リンパ液は各細胞が活動に使用した後の水分ですし、様々な老廃物が漂っているのでリンパ管は「下水道」の方がより近いイメージかなと思います。リンパが流れていないというのは下水が詰まっているということです。
下水道であるリンパ管で回収された水分は全身を巡って、最終的に右鎖骨下部の血管(静脈)で合流します。全身のリンパマッサージを行うとき、最初に鎖骨部分の通りをよくして、最終にも鎖骨に集めて押し込むようにするのはそのためなんですね。そして腎臓に持ち込まれて尿が作られ、膀胱で体外へ排泄される流れになります。
細胞→リンパ管→血管→腎臓→膀胱→排泄
この流れがスムーズだとむくむことはないはずなんです。
そしてようやく本題です。なぜむくがおきる?女性や高齢者がむくみやすいのはなぜ?
いろいろありますが、主な要因を挙げていきます。
・筋肉と運動量
ひとつは筋肉の量。静脈(心臓へ戻る血管)やリンパ管は動力源をもたず、筋肉の動きに依存しています。運動量が少なければ血液やリンパ液の流れも弱く、水分の回収量も悪いです。女性や高齢者は筋肉量も運動量も少ないのでむくみやすいというわけです。よく言われることですが、むくみ防止には、運動して筋肉をつけてください。