姫路のみならず播州の象徴だったヤマトヤシキ。名前の由来は「数多くの商店が仲良く
という意味で『やまと(=大和)』、一つ屋根の下という意味で『やしき(=屋敷)』らしいです。創業111年と長い歴史を持つ、姫路にはあって当たり前の老舗でしたが、2018年2月末、姫路のシンボルと言える百貨店が、ひとつの区切りを迎えました。
閉店時間の18時過ぎには、最後を見送ろうと、みゆき通りにはたくさんの人でごった返していました。毎日新聞によると500人ほど集まったみたいです。
社長の挨拶の後、大きな拍手とともに「ありがとう!」「今までありがとう!」の連呼に、改めてヤマトヤシキが愛されてたんだと実感しました。
現在の建物は、増改築を重ねてきた部分も合わせて老朽化が激しく、建物の維持管理費が赤字の7割を占めていたそうです。今後さらにコストの増加が見込まれますし、加えて、観光客は増加していますが買い物客は減少の一途です。その少なくなった買い物客も、ピオレ等の商業施設が新しくできたことで姫路駅周辺で完結してしまい、商店街への流入は途絶えているのが実情です。
2年前にリニューアルしたり、シャトルバスを運行したものの、不採算体質からの脱却は不可能と判断。このため「一旦閉店し、新たな商業施設に建て替える方針を決定」しました。ただ、具体的な時期や施設概要は未定とのこと。
姫路店の設計は、建築家の村野藤吾氏。閉店を報じるテレビや新聞に必ずといっていいほどその名前が登場するので、建築の世界では著名な方みたいですね。ただ増改築が繰り返されているため、往時の姿を留めている部分は少ないようです。
ニュースでは木製の手すりを映していたので、この部分は数少ない村野デザインの象徴なのでしょう。木なのに複雑な造詣ですし、各階で丸みが違います。なにより木なので温かさもあります。普段は階段を使うことはないので、残念ながらこういう機会でもないとじっくりみることはないですね。
大手前通り側の入り口にある回転ドアも、古き良き時代を醸し出していました。他県からわざわざ「この回転ドアを撮りにきました」という人も。確かに今や回転扉というのは珍しいですよね。解体するのは惜しいです。
8階レストラン街からの眺める姫路城はまた格別。高い位置からお城を眺めることができます。もうこの景色を見ることができないのも残念です。
解体後についてはいろいろな噂がでていますが、どうなるんでしょうね。フォーラスも解体が完了するのに1年以上かかりましたし、新たにマンションやホテルの建設に2年以上かかっているので、しばらくは寂しい光景が続きそうです。
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