秋冬は乾燥のシーズン。乾燥はお肌を荒らすので、保湿クリームは必須です。唇も乾燥すると荒れるのでリップクリームが手放せないという方も多いでしょう。でも、頻繁にリップクリームのお世話になっている人は胃腸がかなりお疲れなんだと思います。
舌が白いというのも胃腸からの「トラブルですよ~」というメッセージだったりします。
1日3食が一般的になった現代。胃は、毎日3回も大量の食べ物を消化する超多忙な器官。胃から分泌される胃液は非常に強い酸性で、胃そのものをも溶かす力があります。にも関わらず、胃が胃液で溶けないのは、しっかり酸から身を守る「粘液」を胃壁に張り巡らせているからなんですね。
逆に言うと、粘液がうまく分泌されないと、胃は自ら自分を傷つけ荒らしてしまいます。ただ、仮に荒らしてしまっても、胃には臓器の中でも最強の回復機能が備わっていて、多少傷ついたり、荒れていたとしても、わずか数時間で元に戻せる回復力の高さを誇ります。
そんな最強の回復能力がある胃ですが、
・早食い、食べ過ぎ
・ダラダラ間食で胃を休みなしで働かせる
・「酸」であるコーヒー、炭酸飲料、甘いもの(白砂糖)が送りこむ
・深酒
など、自慢の回復力を上回るダメージを与え続けると、当然壊れますし、被害はすぐ近くの腸や食道、直腸・肛門に及んだりと、胃だけの被害では済まなくなります。
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前置きが長くなりましたが、ここからが本題。
胃腸と舌は粘膜で作られていて、繋がっています。胃や腸で異常(炎症など)が起きると、その異常を治そうと新しい細胞がどんどん作られます。 胃腸で新しい細胞が作られると、舌や唇の細胞も同じように作られるんです。そのとき、舌の表面のデコボコ(乳頭)が大きくなるのです。
白い舌の表面についている白いものは舌苔(ぜったい)と呼ばれている苔。この苔は舌の表面の細胞が死んで堆積したもの。どんどん新しい細胞が作られた結果、同時に死んだ細胞も多くできます。通常、この白い苔は食べ物で削られて自然と消えるのですが、舌の表面の乳頭と呼ばれるデコボコが大きくなっているため、溝にたまった苔が食べ物で削られることなく残ってしまった結果、白い舌になるというわけですね。
唇も粘膜でできているので、胃腸にトラブルがあると唇も同じように荒れてしまい、保水能力も落ちて乾燥します。
ちなみにですが、最近、特に目立つようになってきた痔。男女関係なく日本人の3人に1人は「痔主」といわれるほど、痔は身近な病気です。東洋医学は「消化器官の後始末を押しつけられた結果」と捉えています。 患部だけに目がいきがちですが、肛門も胃や腸とつながっているので、これも胃腸のトラブルが、肛門にも影響が現れると考えるのは自然です。
根本解決は「胃腸を休める」「胃腸の負担を軽くしてあげる」、具体的にはよく噛んで、ゆっくり食べる、間食を控える。至ってシンプルです。ですが、そのシンプルなことが意外と難しいのが現代人なんですが。。。
ところで、エチケットとして舌磨きでこの苔を削り取る方も多いですよね。ですが、基本的にオススメできません。
例えば、皮膚の表面の角質は、一般的に垢(あか)と呼ばれていますが、「垢=汚れ、不衛生」というイメージでゴシゴシ擦ってまで洗い落とそうとする人が多いですよね。、でも、この垢は外からの衝撃などから皮膚を守るバリアの役割をもっています。むやみに削ってしまうのは考え物です。お風呂上りに身体がかゆくなるという人は、基本的に強く洗いすぎです。
そして、舌の苔も食べ物で舌が傷つくのを防ぐバリアの役割を果たしているんです。苔をとってしまうと舌に細かい傷が付き、ばい菌などに感染する可能性がでてきます。人間のカラダはよくできていて、起きる現象には意味があるわけで、むやみやたらに触らない方がいいわけです。
この白い苔自体は臭いの原因にはなりません。口臭は胃の異常が原因であったり、口の中の乾燥が原因で、唾液の分泌が少ないときに起こります。やはり、その場所だけを見るのではなく、胃腸に目を向けてあげるべきですね。 胃が回復すると赤味を帯びた健康な舌に戻ってくれます。
もちろん足つぼ(足もみ)も大きな助けになります。胃の防御機能は、脳からの正しい信号を受けているから成り立つのであり、脳(とくに非随意筋をつかさどる小脳)と胃の連絡連携がしっかり取れているからなせる技であり、足裏からの刺激を脳に送って胃そのものに働きかけてもらいます。反射区療法といいます。
具体的な場所は「土ふまず」。ここを足つぼに使う棒を使って「掘る」ように揉みます。消化器系にトラブルのある方は、ここに固いものが溜まっていることが多いのですが、これを崩します。
「棒では痛すぎる!」というかたは中華料理に使う蓮華(レンゲ)を使うと、効率的に揉み崩せます。もしくは、何かの段差の角に足を擦りつける(摩擦で皮膚を傷めない程度に)と体重をかけられるので楽ですね。
ところで、一般的に食後1時間以内の足つぼは禁忌とされていますが(消化のために胃腸に集中している血液を散らすことになり、かえって消化不良を起こすから)、消化器系の反射区はすべて地面と接触しない「土ふまず」にあるので、食後すぐに歩いても大丈夫なようにできているのです。偏平足な人は胃腸が弱い人が多いのですが、土ふまずの凹みがなくなって、逆に地面に近づくことで刺激を求めて、胃を治そうとしているのではないかと考えられています。やはり人間の身体ってよくできていると思います。
胃は私たちにいろいろなことを教えてくれるお喋りな器官です。唇の乾燥や舌が白くなる、胃もたれ、胸やけ、痔・・・身体にいろいろな変化を起こすことで「今の食生活、間違ってるよ」というメッセージというか警告を必死で伝えようとしてくれています。
その声に気づいてあげてくださいね。
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