「鼻と口、どちらで呼吸していますか?」
以前、呼吸の回数について取り上げましたが、それと同様に、普段あまり意識することはないと思います。
特に今年はマスク生活が定着しました。マスクを着用すると吸い込む空気の量は減りますし、吐いた息に含まれる二酸化炭素を再び吸い込むので、酸素不足になりやすいです。さらに布マスクの場合は、息を吸うとき、空気と一緒に布も吸い込んで、布が鼻の穴をふさぎがちに。こうなると、ただでさえ吸い込む空気が減っているのに、さらに酸素を吸いにくくなります。酸欠で気分が悪くなったり頭痛がしたり。マスクを着けているときは、鼻呼吸よりも多くの酸素を吸うことができる口呼吸に無意識になりがちです。
口呼吸チェック
1.朝起きた時、咽がヒリヒリすることがある
2.鏡を見ると、口が「へ」の字
3.クチャクチャと音を立てて食べる
4.唇がいつもカサカサしている
5.何かに夢中な時、口が開いていると言われる
6.いびきをかく
3つ以上当てはまると、口呼吸の可能性が高いです。
口で呼吸する事の何が問題かというと、扁桃腺炎や風邪などの呼吸器の病気にかかりやすいことが挙げられます。
呼吸器のトラブルはやがて免疫病になります。免疫病というのは、免疫力が低下して突然引き起こされる現代病。原因不明のものが多いといわれる中、口呼吸が免疫病を招く原因の一つともいわれたりしています。
空気を口から取り入れると、口の中が乾きます。唾液の分泌が落ちると口臭の原因になりますが、それより深刻なのが扁桃腺の乾燥。扁桃腺が乾燥すると、常に白血球の中にウィルスが入り込み、白血球の抗菌パワーをダウンさせてしまいます。その結果、身体は白血球のパワーを落とさないように、活動しやくするため発熱を促します。これは風邪を引いた状態と同じです。そもそも扁桃腺役割は、口から入るばい菌からの防御です。空気中のウィルスの退治は本来の目的ではありません。無理な作業をさせられて、処理しきれなくなると咽が赤く腫れ上がってしまいます。これがいわゆる扁桃腺が腫れるという状態ですね。
また、乾燥したサウナの中で深呼吸すると、苦しくなる経験をされた方はよくわかると思いますが、肺というのは加湿が不十分な空気だと呼吸がうまくいかないのです。乾燥した空気は、肺胞の粘膜になじみにくく、酸素がスムーズに吸収されないから。
マスクをしているときは、自分の吐いた息を再吸入します。呼気の中にはかなりの水蒸気が含まれて加湿されているので、ある程度は乾燥した空気を吸うことが避けられます。ですが、鼻呼吸には及びません。そして問題は、口呼吸が習慣化してしまうこと。マスクを外したときも、無意識に口呼吸をしてしまうと身体を弱らせてしまいます。
口呼吸の癖がついて一番怖いのは、睡眠中の口呼吸。横になったときの口呼吸は、のど(咽頭)を圧迫してしまうため、いびきをかきやすくしてしまいます。いびきは少し前までは「よく眠れている」 ことのシンボルだったのですが、最近では、程度にもよりますが、「病気の兆候のサイン」と の認識が高まっています。
※いびきの原因は肥満やのどを支えている筋肉の緩みもありますが、今回は割愛します。
一方、鼻呼吸の利点は大きく2つ。
1.除塵
鼻毛がフィルターの役割を果たし、ほこりを除去します。
口呼吸だとほこりや菌もダイレクトに肺に送ることになります。鼻の粘膜には細かい粘液層があります。また線毛という細かい顕微鏡でやっと見える毛があります。このいろいろな鼻の中のミクロな構造で、鼻呼吸をする際に粘液で吸気(外気)の異物を吸着させたり、その線毛の働きでその異物がついた粘液を外に流れ捨てる働きがあります。
2.加湿
加湿が不十分だと呼吸がうまくいかない
鼻から吸った空気は豊富な血流を持つ鼻の粘膜からの放熱によって「加湿、加温」されます。こうすることで肺がスムーズに酸素を取り入れることができるわけです。
口呼吸の逆ですね。鼻はいわば優秀な加湿機能付き空気清浄器。ウイルスから身を守るためにマスクを着けているのに、それが免疫を落とす原因になっては本末転倒です。マスク使用中の呼吸も注意しながら、これからもしっかりと対策を行なっていくようにしましょう。
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