昨年から生活ががらりと変わって、在宅時間が増えたという方も多いと思います。そして、在宅時間の増加に比例して不調を訴える方も増えている印象です。外出を控えたり、リモートワークで座る時間が増えているからなんですね。 座ることは安静にしていることと同じ。身体に負担をかけていないので問題にはならないのではないか?と思いがちですが、それは間違いです。
オーストラリアの研究機関の調査では、日本人の成人が平日に座っている時間が、世界20カ国中、もっとも長い1日420分=7時間ということがわかりました。さらに、座っている時間が長いほど健康リスクが上がる研究結果も次々と報告され、メンタルヘルスにも影響を与えるといわれています。また、1日に座っている時間が4時間未満の人に比べて、8~11時間未満の人は15%、11時間以上の人は40%も死亡リスクが高いことが判明しています。アメリカのHSS(保健福祉省)は2018年からガイドラインに「可能な限り座っている時間を少なくする」ことの必要性を明記しています。これはWHOも同調しています。
座りすぎが悪影響を及ぼす理由として、まず、座っていると足のつけ根の部分と、膝の部分の血管が圧迫されるため、下肢の血流量と血流速度が低下します。すると心臓が強く血液を送り出そうと働き続け、高血圧状態になってしまいます。
加えて、人間の筋肉は約7割が下半身についています。座り続ければ当然、太ももの筋肉やふくらはぎの筋肉を使わなくなります。筋肉は血中の糖分をエネルギーとしますが、大きな筋肉を使わなければ、それだけ糖代謝が減り、糖尿病になるリスクを高めてしまいます。 また、脂肪の分解酵素(蛋白リパーゼ)は、筋肉を動かす事でスイッチが入りますが、それも減ってしまい、メタボになってしまいます。
さらにさらに、座りすぎが血栓症の要因になります。「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「深部静脈血栓症」、「肺塞栓症」、「急性肺動脈血栓塞栓症」といいます。いわゆるエコノミークラス症候群ですね。「塞」や「栓」という字が使われているとおり、詰まってしまう病気です。血液の流れが悪くなり、血栓(血の塊)ができて、それが肺や脳などにつまって胸が痛い、動悸、息切れ、呼吸困難がおきます。ひどい症状になると、ショックを起こしたり、意識不明になったり、最悪の場合死に至ることもあります。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるくらい、ポンプの役割を果たしています。立ち上がったり歩いたりすることで、このポンプを働かせて、全身の血液を回しているわけです。寝たきりと同じで、座りすぎもこのポンプの働きがなくなり、心臓だけで全身の血液を回すことになるので、心臓の負担が大きくなります。脳への血流も少なくなり、脳からの司令も低下するので認知症の恐れもでてきます。広島大学の調査で、「自粛期間中に認知症の人の症状悪化と家族の介護負担増の実態」が明らかになっています。
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/59484
なので、座りすぎを解消することはとても大切です。理想的には20分~30分ごとに3分ほど立って動くことが良いとされています。シンプルですが、なかなか難しいですよね。かといって、手でマッサージをするのは時間もかかりますし、疲れます。
一番お手軽なのは、棒状のものでふくらはぎをマッサージ。棒状ならなんでもいいのですが、うどんや蕎麦を作るときに使う麺棒がオススメです。麺棒は100円ショップで簡単に手に入ります。同じ100円ショップに売っているマッサージローラーでもいいと思うのですが、疲れにくさと効果の面で麺棒のほうが優れていると思います。
棒を両手でしっかり握って、ふくらはぎをしごき上げます。
ふくらはぎの筋肉の代わりに血液をポンプアップさせてあげるわけです。腕を動かすと疲れるので、腕は固定して脚のほうを上下させると疲れにくいです。加えて、膝裏も血行が悪くなるポイントなので、棒の先でここをグリグリしてあげれば完璧です。
もちろん効果的にふくらはぎをマッサージできるグッズはあります。
赤棒
G棒(桐製)
筋筋膜リリース・マッサージローラー
こういったふくらはぎ専用のマッサージグッズはいろいろありますが、まずはお手軽に麺棒で試してみて、物足りなくなったったらこういった本格的なグッズを購入するのもいいと思います。
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